技術

Slackの分報、times_xxxという文化について

今月の『Software/Design』(2022.08)のハピネスチームビルディングという連載に分報が紹介されていました。

私は、分報は効率的に運用するのは困難であり、仮に上手くいったところで対効果はそれほどでもないので、あまり導入するメリットはないと思っています。

分報って何?

分報とは、いわゆるSlackのtimes_xxxという個人チャンネルのことです。

私はtimes_xxxというSlackの個人チャンネルの文化は知っていましたが、分報というワードは知りませんでした。どうやら、times_xxxのことを分報と呼ぶようです。文字通り分単位で書き込むわけではありませんが、日報や時報と比較して、報告の頻度が細かいので分という言葉を使っているらしいです。

導入している現場は体感で1/3ぐらい

私がフリーになってお仕事をいただいたところで、分報を導入していたのは2社でした。統計が少なすぎて割合を出しても意味ありませんが、私個人の体感では1/3程度の現場が導入しています。(まあ、実際はもっと少ないと思いますが・・・)

1社はベンチャーで、もう1社は社歴が結構あるレガシー気味のシステムでサービス展開している現場でした。分報はベンチャーで使われているイメージがありますが、そういうわけでもないのでしょうか。

上手くいっているところは、体感0%

分報を導入して、上手いこと運用されているのは2社中0社、つまり0%でした。

2社とも、メンバーの内、1人2人が高頻度で更新して、それに返信するのはほぼチームリーダーだけという状態でした。他のメンバーは書き込み率はほぼ0%、書いても良くて3、4日に1回という感じで、分報どころか日報以下という頻度でした。

私もジョインさせていただいた内、2社とも書かない側でした。書く必要性があまりなかったのと、timesを書くノリについていけなかったのが主な理由です。

分報の運用が難しい理由

分報の効果的な運用は本当に難しいと思います。

  • お互いに些細なことを言い合える関係構築
  • 書いたり読んだりすることが負担にならない組織文化の構築
  • 書く意味があると思えるメンバー

などが必要です。この全てが必要ですが、これらは一つでも揃えるのが困難です。

分報を心理的な負担なしで書けるようにするには、そもそもチームメンバー間である程度、関係が構築できている必要があります。いきなりジョインして、オフラインであったこともない人たちにまじって、ノリや空気を読んで自分の考えを公開したり、誰かにフィードバックコメントするのは、相当の心理的な負担がかかります。

また組織の文化、チームの雰囲気などもできている必要があります。Slackなどの過去ログを調べればわかるようなことも気軽に質問できたり、くだらないことや雑談レベルのコミュニケーションに価値を見いだしている組織文化、そしてメンバーがそれを体感できている必要があります。

分報で一番の課題は、書く意味があるメンバーでチームを形成できるかです。分報書くときに一番期待することは自分の課題に対して解決作やヒントなるフィードバックです。なので周囲は技術や経験が豊富な技術者がいる必要があります。その環境がなければ、フィードバックのない自分の課題を列挙しているだけです。だったらSlackでやる必要性がまったくありません。Slackは課金していなければ消えますしね。自分のローカルで、エディタ、もしくは紙やペンなどの手書きで課題整理したほうが効果的です。

分報は結局、フィードバックできるメンバーがチームリーダーなどの、各メンバーがやっているタスクを把握している人やシステム事情に精通している業務経験が長い人に偏ります。結果として、分報はただでさえ負荷がかかりがちなチームリーダーにさらに負荷がかかるだけのものとなってしまいます。

まとめ・個人的な意見

以上、分報、timex_xxxに対する個人的な意見でした。分報は個人的にはマイナスイメージしかありません。今の現場にジョインしたとき、分報なくてよかったと思いました。

Slackが世に浸透して、千差万別な使い方やツールなどが跋扈しています。分報もその一つで、そのうち淘汰されて、どこもやらなくなるかもぐらいに思っています。